「君を絶対愛さない」と言ったクールな警視正に滾る愛を刻まれました
「まあ、そりゃあそうだよね」

 麻美はさっぱりとした声音で言い、本日の特別ランチというメニューの白魚のムニエルを切り分けて口に運んだ。

 私は煮込みハンバーグを頼んだので、ふーふーと息を吹きかけながら食べ進める。

 両親が和食を好んでいた影響で私が作る料理は和食が中心だ。巧さんが洋食レストランでわずかながらにテンションを上げていたのを見て、献立のレパートリーに洋食を増やそうとハンバーグを頼んでみたのだ。味以外にも盛り付けなどを参考にしたい。

「結婚について、会社では内緒にするの?」

「うん。部長にお願いしたら、そうした方がいいって言ってくれた」

「面倒くさいよね、人の目って。仕事と人間関係を切り離せたらいいのに」

「だね」と苦笑してから、麻美の顔をじっと見据える。きょとんとした麻美は、ナイフとフォークを持つ手を止めた。

「でも、麻美と仲よくなれたから、切り離すのはやっぱり嫌だな」

 社会人になってもこんなに心を許せる大切な友人ができる私は恵まれている。
< 137 / 222 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop