「君を絶対愛さない」と言ったクールな警視正に滾る愛を刻まれました
「美月の素直なところ好き」

「ありがとう。私も、麻美のお節介なところが好き」

「それ、褒めてるの?」

 麻美が送ってきたジトッとした目線を受け止めて見つめ合った後、同時に噴き出した。

「あー、楽しい。美月といると元気になれる」

「本当? 私なにもしていないよ」

「美月の前では気を張らずにいられるんだよね。どんな私でも否定しないで受け止めてもらえる安心感がある」

 そんなふうに思っていたなんて知らなかった。どちらかというと、自分の方が麻美に甘えているとばかり。

「それは私も同じだよ。麻美にはなんでも話せるし、聞いてもらえてありがたいっていつも感謝している」

「ありがとう」

「こちらこそありがとう」

 お礼を言い合って、互いに照れ笑いをした。

 麻美は親友で巧さんは夫だけれど、麻美とのように信頼関係を強めていけたら嬉しい。

 陽平と内村さんや職場の人たちなどいろいろ上手くいかない対人関係があっても、私を大事にしてくれる人がいるだけで幸せなのだと、この時改めて感じた。

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