「君を絶対愛さない」と言ったクールな警視正に滾る愛を刻まれました
「矢沢さんも捜査一課ですか?」

「そうだよ。カッコいいでしょ」

「はい」と苦笑して、チューハイを口に運んだ。久しぶりのお酒で酔いが回るのが早い気がする。まだほんの少ししか飲んでいないのに、身体ぽかぽかして熱っぽい。

「ふたりが同時に休むことは可能なんですね」

 巧さんの顔色は変わらなかったが、矢沢さんは一瞬だけ表情を無くした。

 休みに関しては、特に触れてはいけない話題ではないはずだけれど……。

「個人的に追っていた事件が収束してきたから、ちょっと休憩を取ることにしたんだ」

 相槌を打って、巧さんをちらりとうかがう。

 個人的に追っていた事件と同じだと解釈していいんだよね? 解決ではなく収束なのでまだ終わっていないのかもしれないけれど、これで巧さんの負担が軽くなればいいな。

 ふたりともなんとなく憂鬱な空気を纏っているのは、もしかしたら望んでいたような方向に進まなかったからなのか。

 そこまで考えを巡らせて、私が介入する必要はないと思考を振り切った。
< 149 / 222 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop