「君を絶対愛さない」と言ったクールな警視正に滾る愛を刻まれました
「巧さん、冷たくて、もう限界」

 強い拍動に胸が苦しくなって、絞り出すような声になった。それが限界さを強調させたのか、頑なに私の手を掴む力を緩めなかった巧さんが、すっと脱力する。

 タオルで拭いてから手を見ると赤みが消えていた。指さして、「ここなんですけど」と説明をする。

「大丈夫そうです」

 巧さんは私の手首を掴み、連行する形でソファまで移動した。されるがまま腰を下ろし、巧さんの動向を静かに見守る。

 湿潤療法で有名な絆創膏を持ってきて、私の隣に座ると丁寧な所作で指に貼った。

「これって火傷にもいいんですか?」

「痛みを軽減しながら保護ができるからな。薬を塗ってガーゼをあててだと、まともに手が使えないだろう」

 なるほど、と大きく頷く。
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