「君を絶対愛さない」と言ったクールな警視正に滾る愛を刻まれました
 再び抱きしめてキスをしたい衝動に駆られ、落ち着かせるために深く息を吸い込んでからゆっくり吐いた。

「少し長くなるけど聞いてくれるか」

「もちろんです」

 ぱっと顔を上げた美月の顔にはもう羞恥の色はなく、きりっと引き締まっている。真摯に向き合おうとする姿に胸を打たれた。

 まいった。どんどん好きになる。

 グラスに入れた飲みかけの水で喉を潤して気持ちを切り替え、取りこぼしがないように、時間をかけてひき逃げ事故にまつわる話をすべて打ち明けた――。


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