「君を絶対愛さない」と言ったクールな警視正に滾る愛を刻まれました


 頭の中だけで考えを巡らせているより、声に出して誰かに伝えようとする行為の方が格段に辛い。心への負荷が重すぎて潰れそうになる。

 人は悩みを他者に打ち明けることで楽になる場合もあると言うが、俺の場合は逆のようだ。

 自分の内側に押し込めていたからこそ強くあれた。言葉を詰まらせるほど動揺して、不安感に苛まれる。

 美月は相槌を打つだけで深掘りせず、さざ波ひとつ立たない海のように寄り添ってくれた。

 男として情けないし、カッコ悪いし、美月には絶対に晒したくない姿のはずなのに、すべてを知ってほしい欲もあって、矛盾している。

「悪い、こんな重たい話をして」

 無自覚に緊張しているのか、喉が張りついた感覚があって声が掠れている。横を向いて咳払いをして、鼻から深く息を吸った。
< 187 / 222 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop