「君を絶対愛さない」と言ったクールな警視正に滾る愛を刻まれました
さんがくれた言葉のように、愛おしいなって感じたのは、指輪を買いに行った日」

「そうなのか」

 あの日はジュエリーショップの後にレストランに行ったし、デートっぽい雰囲気ではあった。でも美月ちゃんはいつも通りに見えたし、どこで意識してくれたのか謎だ。

「人として好きって気持ちは、昔からあったんです。でも異性としては、再会してから時間をかけて……だと思います」

「ありがとう。嬉しいよ」

 まずもって『人として好き』と昔から思っていてくれたところに、胸にくるものがある。

「えー……嬉しい。好きになってもらえるまで、何年もかかると思ってた」

 美月は両手で頬を覆い、可愛いひとり言をこぼした。

 たまらなくなって、美月の後頭部と背中に手を回す。目を白黒させているのをほとんど見ないまま唇を押しあてた。
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