「君を絶対愛さない」と言ったクールな警視正に滾る愛を刻まれました
 美月は身体を微かに跳ねさせたが抵抗しない。位置を変えようとほんの少し離した瞬間に美月がすうっと息を吸った。

 もしかしてキスの間ずっと息を止めていたのだろうか。もう一度ひたりと触れ合わせて、唇の弾力を確かめるように何度もついばんだ。

 静まり返っているリビングでは、俺たちの秘めやかに交わる吐息ですら響く。

 なかなか開けてくれない口の割れ目を舌先でなぞり、入れさせてほしいと懇願する。

 遠慮がちにそっと開かれた隙間から侵入し、口内をこじ開けると「んぁっ」と苦しげにも甘ったるくも聞こえる声が美月からこぼれ落ちた。

 歯茎を丁寧になぞり、逃げ惑う舌をからめとって吸い上げる。

 美月は耐えられなくなったのか、俺の背中に腕を回してシャツをぎゅっと握り締めた。

 ひとつひとつの動きすら愛おしくて、全てを奪いたくなる。

 美月の後頭部を撫でながら離れると、互いの混じりあった唾液が血色のいい唇を濡らしていて、艶っぽさにまた情欲が掻き立てられた。

「何時に寝る?」

「へ?」と、間が抜けた声を発した後、察しのいい美月は目を泳がせた。

 無理強いはしたくないから決定権は美月に委ねる。
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