「君を絶対愛さない」と言ったクールな警視正に滾る愛を刻まれました
 この部屋で待たせてもらっている間に、同僚の森麻美(もりあさみ)に電話をかけてすべてを話した。

『よく知っている社員が横浜店にいるから、内村さんについて遠回しに聞いてみる。すぐに折り返すね』

 仕事の早い麻美からは一時間もしないうちに連絡がきて、憤慨しながら私の知らなかった裏の部分を教えてくれた。

 陽平の実家暮らしは嘘ではなく本当で、内村さんの家で半同棲状態だったらしい。妊娠してすぐに酷いつわりになった彼女は実家へ一時的に戻っているそうだ。ちなみに妊娠七ヶ月。

 私との交際期間、ほとんど二股だった。内村さんがつわりで苦しんでいたからこそ陽平との時間を取れていたなんて、騙されていた身とはいえ、とてつもない罪悪感に苛まれる。
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