「君を絶対愛さない」と言ったクールな警視正に滾る愛を刻まれました
 警察官という職業について知識がなさすぎるので、いろいろと質問したくなる。

 気になるなら後で調べればいいか。顔見知り程度の私が詮索するような真似をしたら、きっと巧さんからしたら気分がよくないよね。

 ……私たちって本当にそのくらいの仲なんだよね。

 やはり男性の部屋に上がり込むのは軽率だと、ここにきて思い留まってしまい靴が脱げない。

「どうした?」

 そこまで広い玄関ではないので、私が突っ立ったままでは巧さんは部屋に入れない。壁に手を添えて、私にぶつからないように靴を脱いだ巧さんの声が近い。

 今ならやっぱり帰りますと言える。けれど、ホテルに宿泊する予定を私のせいで変更したのに……。
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