「君を絶対愛さない」と言ったクールな警視正に滾る愛を刻まれました
 あまりの痛さに声が出ず、右手で押さえながら下を向いてうずくまる。

「こんなところで何してるの!? なんなの、この女!」

「ちょっと落ち着こう、周りに迷惑がかかるよ……」

 陽平の気弱な声につられて私もますます身体が縮こまる。少しだけ顔を上げたがそれ以上は怖くてできない。

 なかなか引かない激痛に耐えていると、女性がテーブルを手のひらで激しく叩いた。

 手の方が痛そうだ。そんな感想を抱きつつ覚悟を決めて頭を上げると、見知った女性の顔に一瞬思考が停止した。

 ……この子、横浜店のチーフだった子だ。

 肩につかないくらいの長さで切り揃えられたボブヘアは金髪で、カラコンをした瞳は大きくパッチリとしている。

 華やかな印象を受ける彼女とは対照的に、癖によって軽くウエーブし、鎖骨まで伸びた自身のダークブラウンの髪を整える。

 たしか内村双葉(うちむらふたば)という名前だ。

 近々店長になりそうだと予想されていたほどだったので本部にも顔を出すことがあり、何度か話したことがある。
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