「君を絶対愛さない」と言ったクールな警視正に滾る愛を刻まれました
「ひと部屋使っていないから、美月ちゃんはそこを使って。客人用の布団はクローゼットにしまってあるから出すよ」

「助かります」

「自分の家だと思って過ごして。分からないことがあればいつでも聞いてくれていいから」

 私の部屋は1Kで、ひとりで生活するにはその間取りで十分。二部屋あるのは誰かと暮らしていたり、その予定があったりしたのか。

 そこまで考えてはっと我に返る。

 巧さんに興味を持ちすぎだ。こんなに何度も疑問を浮かべていたら、そのうちうっかり口から飛び出してしまう。

 自分にきっちり釘を刺し、リビングの三人掛けカウチソファで巧さんと隣り合わせに座りながら会話は続く。

 私はホテルでシャワーを浴びたけれど巧さんはスーツ姿のままだ。彼の時間を奪っていることが心苦しく、早く会話を切り上げようと気が急く。

「俺も明日休みだから、病院まで送っていく。その帰りにマンションに寄って、必要な荷物を持ってこよう」

「え?」

 間抜けな声を出すと巧さんは不思議そうに首を傾げた。
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