「君を絶対愛さない」と言ったクールな警視正に滾る愛を刻まれました
「警視さんでしたっけ? 大変そうですよね……って、お仕事についてなにも知らないですけど」

 苦笑しながら問いかけると、巧さんは透明なグラスに氷を入れた珈琲を静かに飲む。

「今は警視正だ」

「警視正……」

 聞き馴染みのない言葉をオウム返しする。

 警視の上の役職ということだよね。だとしたらかなりの立場だ。三十三歳でそれはとてもすごいのでは?

「昨日ホテルにいたように、現場でのお仕事がメインなんですか?」

「いや、基本は警察庁で仕事をしている。昨日は個人的に調べたいことがあったんだ」

「そうなんですね」

 守秘義務があるだろうし、仕事内容について質問を重ねるのはきっとよくない。でも個人的に調べたいことって何だろう。たまにテレビで時効が切れた事件を当時担当していた刑事が追う……というものが放送されるけれど、ああいった類だろうか。

 私の住んでいる世界とはかけ離れていて他人事のように捉えてしまいそうになるけれど、巧さんたちがいるから私たちは平和に暮らせているのだ。

 とても凄い仕事だと、改めて尊敬の念を覚える。
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