「君を絶対愛さない」と言ったクールな警視正に滾る愛を刻まれました
「このマンションです。駐車場を借りていないので、すぐ近くのパーキングに停めてもらえますか。すみません」

 徒歩数分の場所にコインパーキングは幾つもあり、なおかつその駐車場でカーシェアリングできる利便性があり、私は車を所持していない。

「了解」

 乗り心地がよすぎて考えに耽りすぎてしまったくらいに、巧さんは運転が上手だ。車で通勤しているのだろうか。

 七階建てのマンションは巧さんの住まいほど綺麗で高級ではないけれど、世間一般の平均より家賃は高い。

 大学四年生で内定が決まり、四年間アルバイトしていた経歴もあって、社員になると同時に店舗のチーフへ昇格することが決まっていた。

 ある程度の給料が見込め、長く暮らせるようにと妥協せずに選んだ物件は想像以上に住みやすく、別のマンションへ引っ越そうと考えたことは一度もない。
< 41 / 222 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop