「君を絶対愛さない」と言ったクールな警視正に滾る愛を刻まれました
「彼と付き合う前からグラスは幾つかあって、あえて買い足すことはしていないです。食器も、パジャマも、基本的にお揃いのものってないですね」

「そういうものか」

 さほど興味のなさそうな声音で返されて、さすがに苦笑した。

 小首を傾げた巧さんにグラスを手渡してから、「だって」と肩を揺らす。

「聞いておいて、興味なさそうに見えたので」

「興味はない。ただ一般論を述べてみただけだ」

「そうですか」

 おかしなやり取りだ。笑いが治まらないのでお茶を飲むことができない。後で飲もうと決めて、荷物の片付けを進めることにした。

 両手で抱えられるだけ持って段ボールの横に置くという作業を繰り返していると、不意に巧さんが立ち上がって段ボール前に座り直し、溜まった物を詰め始めた。
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