「君を絶対愛さない」と言ったクールな警視正に滾る愛を刻まれました

　止まらない過激な行動に恐怖心が勝り、どうしても口を開けなかった。

「庇うとかじゃなくて、本当のことを――」

「陽平と結婚しているのは私なの！　そうでしょ？」

「うん」

　え、結婚しているの？　じゃあ私って……。

　妊娠したのは内村さんだが、交際を始めたのはどちらが先か明確ではなかった。だから正式な彼女は私かもしれない、と自尊心を保つために立てていた仮定が脆くも崩れ去る。

　どう考えても内村さんが本命だ。

「他の女の名前を口にしているだけでもむかつく！」

「そうだよね、ごめん。本当にごめん」

　内村さんの怒りを静かに受け止めている陽平の姿を目の当たりにして、心の中でたくさんの感情がないまぜになって気持ち悪くなった。

　頭がくらくらする。ぶつけた場所だってまだ痛い。