「君を絶対愛さない」と言ったクールな警視正に滾る愛を刻まれました
――巧side
平日とはいえ整形外科はそれなりに混んでいて、椅子で待ちながらスマートフォンでニュースや経済紙に目を通す。
美月ちゃんは待っている間文庫本を読んでいたが、ブックカバーがされているのでどんな内容なのかは分からなかった。俯いている姿がとても大人っぽく見え、そういえばメッセージアプリのアイコンもどこかしっとりとした雰囲気を感じさせる表情だったな、と思い返す。
診察の結果は捻挫で、二週間ほどで治るそうだ。もちろん無理をすれば悪化するし、とにかく安静にしているようにと医師に念を押された。
さて、どうするか。美月ちゃんはおそらく自立心が強く、他人に迷惑を掛けるくらいならひとりで無理をしてでもなんでもやってしまいそうだ。俺がそうだから、なんとなくそう感じる。