「君を絶対愛さない」と言ったクールな警視正に滾る愛を刻まれました
「でも、自分で言うのもなんですけど、こだわりも強いのでなんでも好きというわけではないんですよ」

「そうだろうな。美月ちゃんの部屋はシンプルだったし、厳選しているのは見て分かった」

 率直な感想を述べると、隣から「え!」と驚きの声が上がった。

「分かってもらえて嬉しいです」

「俺はわりとシンプルな系統を好むから、美月ちゃんとは好みが合いそうだ」

「巧さんの部屋を見て、私も同じこと思いました」

 車のフロントガラスから注がれる日差しは肌を刺すようで心地悪いのに、車内に漂う空気は不思議なくらいに穏やかだ。

 それから互いのことをぽつぽつと打ち明け、美月ちゃんがヨガを習っていることや、料理が趣味なのを教えてもらった。

 俺は小説を読んだり、映画を見て休日を過ごしていると伝えると、美月ちゃんは自分も同じような時間の使い方をすると共感してくれた。

 あとは警察官という仕事について興味があるようで、真剣に耳を傾けてもらえたのが嬉しかった。
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