「君を絶対愛さない」と言ったクールな警視正に滾る愛を刻まれました
「買い物に行きたいけど足がちょっとあれなので、ネットスーパーで一週間分の食材を買ってもいいですか?」

「もちろん。利用しているところがあるから、そこで買ってほしい」

 リビングテーブルに置いてあるノートパソコンの前に移動し、ソファに座ってからたまに利用するネットスーパーのホームページを開いた。

 興味深そうにパソコンの画面を覗き込んだ美月ちゃんの腕が俺の腕に当たり、その瞬間にふわふわと柔らかそうな髪からいい香りがする。

「食材意外に必要なものがあれば買っていいから」

 さっと立ち上がって席を譲ると、美月ちゃんはパソコンの前に座って画面をスクロールさせた。

「好き嫌い、アレルギーはありますか?」

「なんでも食べるし、アレルギーはない」

「リクエストは?」

 問われて考える。

 好きな食べ物を聞かれたのは小学生の頃が最後かもしれない。なかなか思い浮かぶ言葉を詰まらせていると、美月ちゃんが明るい声を出す。

「私の好きなものを作っちゃいますね」

「そうしてくれ」

 気に留めた様子がない表情でパソコン画面を見つめたままの美月ちゃんに、寝室で仕事をしてくると伝えてその場を離れた。
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