「君を絶対愛さない」と言ったクールな警視正に滾る愛を刻まれました

 美月ちゃんがうちで生活をするようになってから一週間が経った。今日は病院に行くので午前中だけ会社を休むと話していたが、経過はどうだったのだろう。

 メッセージは送られてこなかったので、今晩話ができるように半ば強引に仕事を終わらせてきた。呼び出しがないことを祈りつつ家路を急ぐ。

 驚かせるといけないので扉を開ける前にインターホンを押すようにしているのだが、鍵を解錠している間に美月ちゃんはいつも玄関に駆け付けてくれる。

 今日もそうで、靴を脱いだところで美月ちゃんが姿を現した。

「おかえりなさい」

「ただいま。病院どうだった?」

 すぐさま確認すると、美月ちゃんは両手それぞれでオッケーサインを作って笑った。

「念のためにテーピングはもう少し続けて、このまま痛みがぶり返さなければもう病院に行かなくていいそうです」

「よかった。かげで無茶して悪化していないか、心配だったんだ」

 先に廊下を進みながら言うと、背中越しに「なにそれ」とおかしそうに笑う声がした。洗面所のところで足を止めて振り返ると、白い歯を見せた笑顔の美月ちゃんが俺の鞄を受け取ってくれる。

 これは同居二日目くらいからの習慣になった。初めこそ新婚夫婦みたいで緊張したが、三日目が過ぎる頃には安らぎを感じるようになっていた。
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