「君を絶対愛さない」と言ったクールな警視正に滾る愛を刻まれました
出社の時間が近づいてきたので参考書とノートを鞄に入れ、空になったグラスを片付けて店を出た。
青く澄んだ空から降り注ぐ日差しに目を眇める。八月の下旬に入ると暑さは多少和らいできて息がしやすくなった。
巧さんはお盆休みがあったはずだけれど毎日スーツ姿で出掛けていた。警視庁ではなくて個人的に追っているという事件絡みなのかもしれない。わざわざ聞くことではないので確認していないけれど。
私も通常通り仕事があったので、この二週間ふたりの生活リズムは同じで過ごしやすかった。
お盆休みも実家に寄れず、結局まだ母に会えていない。結婚するなら挨拶に行くことになるのだが、陽平と別れてすぐに巧さんと結婚って、いったいどう説明すれば理解してもらえるのかな。
陽平について詳しく話していないから、付き合っていた恋人が巧さんだったと嘘をつくこともできる。でも正義感の強い巧さんがそれでいいと言ってくれるかどうか……。嫌な気分にさせたくもないし。
本社ビルの自動ドアを入ってエントランスを歩いていると、年齢が近く、比較的仲のいい同僚がエレベーターの前に立っていたので声を掛ける。
「おはよう」
振り向いて私と目を合わせた同僚は表情を固くした後さっと目を逸らし、小さな声で「おはよう」と返した。
いつも挨拶してからは世間話をするので、体調が優れないのかと心配になる。
青く澄んだ空から降り注ぐ日差しに目を眇める。八月の下旬に入ると暑さは多少和らいできて息がしやすくなった。
巧さんはお盆休みがあったはずだけれど毎日スーツ姿で出掛けていた。警視庁ではなくて個人的に追っているという事件絡みなのかもしれない。わざわざ聞くことではないので確認していないけれど。
私も通常通り仕事があったので、この二週間ふたりの生活リズムは同じで過ごしやすかった。
お盆休みも実家に寄れず、結局まだ母に会えていない。結婚するなら挨拶に行くことになるのだが、陽平と別れてすぐに巧さんと結婚って、いったいどう説明すれば理解してもらえるのかな。
陽平について詳しく話していないから、付き合っていた恋人が巧さんだったと嘘をつくこともできる。でも正義感の強い巧さんがそれでいいと言ってくれるかどうか……。嫌な気分にさせたくもないし。
本社ビルの自動ドアを入ってエントランスを歩いていると、年齢が近く、比較的仲のいい同僚がエレベーターの前に立っていたので声を掛ける。
「おはよう」
振り向いて私と目を合わせた同僚は表情を固くした後さっと目を逸らし、小さな声で「おはよう」と返した。
いつも挨拶してからは世間話をするので、体調が優れないのかと心配になる。