誰よりも1番で
『お前彼氏とか作らねぇの?』
「いらない。人間ってね?欲にまみれた生き物なの好きになったら付き合いたいと願ってしまう、付き合ってしまうと次は一緒になりたいと願ってしまう、一緒になれると子供が欲しいと家族が欲しいと願ってしまう。けど願ったのにも関わらず自分の時間が欲しいと願ってしまう。結局人は死ぬまで欲にまみれてるんだよ。」
『そうかもな?』
「欲に任せて叶えてもちょっとしたことで其の夢は崩れてしまう。嫌なのまた1人になるのが。お母さんもお父さんも自分の夢のためにあたしたちを置いていった……ハァハァ……今までの彼氏だってそう……ハァハァ……あたしが鬱でパニックを起こせば手のひらを変えて……ハァハァ……めんどくさい……ウザイと……ハァハァ……」
『葉月?』
「ダメなんだよ……ハァハァ……あたしは……ハァハァ……幸せになんて……ハァハァ……なっちゃ……ハァハァ」
『葉月?落ち着いて深呼吸して』
「咲優も……ハァハァ……思ってるよ……ハァハァ……悠真……ハァハァ……くん……も……ハァハァ」
『葉月聞こえるか?落ち着け』
「だい……ハァハァ…じょうぶ……ハァハァ」
『大丈夫じゃねぇから深呼吸しろ』
「あたしは……ハァハァ……いない……ハァハァ……方が……いいんだよ……ハァハァ……」
『葉月?聞こえるか?なぁ?』
「……ハァハァハァ……ハァハァ……」
ガンッドンッ パリンッ
『おい!落ち着け!なぁ?聴こえたら返事しろ』
「もぉ……いいの……ハァハァ……ねぇ……いなくなれば……ハァハァ……みんな……楽になる……」
『おい!何してる!おい!』
このまま居なくなればいい
ほらまた迷惑かけてる生きてちゃダメなんだよ
あたしがみんなを不幸にしてる
部屋の中は暴れてぐっちゃぐちゃ……
意識は朦朧としていて
手にはカッター
これを引けば楽になるはず