冷徹王子の甘い笑顔【番外編】
「皇くん・・・」
「どうした?」
皇坂くんに抱き締められたまま、燈真は少し控えめに話し出す。
「もう、大丈夫、です・・・」
急に恥ずかしくなってきたのか耳が真っ赤に染まっている。
燈真の顔を覗き込むように少し離れた皇坂くんがクスッっと笑った。
「・・・見ないでくださいっ」
相当恥ずかしいのか目を合わせることなく
ぷいっと顔を背ける燈真が可愛くて仕方ない皇坂くんは意地悪そうに笑うと頬に残っていた涙の跡を拭った。
「燈真、ありがとな」
突然のお礼の言葉にビックリしている燈真だったがすぐに笑顔になり、
「皇くん!続きしよ!」
元気よく返事をした。
「そうだな、でももうそろそろ暗くなりそうだからあと少しだけな」
燈真の笑顔につられ、皇坂くんも笑う。
「はい!
お姉ちゃんも近くで見てていいよ!」
急に私のほうに振り返ったと思ったら、
満面の笑みで言うもんだから可愛くて仕方なかった。
「邪魔にならないところで見てるね」
コートの端のほうに移動をし、そのまま2人の姿を眺める。
より一層、距離が縮まったのか2人の空気感が今まで以上に柔らかいものになっていた。