冷徹王子の甘い笑顔【番外編】
「どうしたらここまで濡れるんだよ」

半ば呆れながらも笑いながら服を拭いていた皇坂くんはとても楽しそうだった。
2人がそうこうしている内に私の気持ちも落ち着き、
足が動く頃には帰る準備が終わっていた。

「皇くんに拭いてもらっちゃった~」

「甘えないの」

「だって、皇くんはお兄ちゃんだし!」

「もーう!」

頭を軽く小突くと「痛っ」と笑っていた。

「ほら、荷物まとめてあるから。
忘れ物ない?」

小突かれた頭をさすりながら「うん!大丈夫!」と返事をした燈真はエナメルバッグを肩から下げた。

「じゃあ、帰るか」

「そうだね」

皇坂くんの言葉で公園の出口まで3人並んで歩く。

「今日は本当にいい日だったな~!」

燈真の嬉しそうな声に私と皇坂くんは顔を見合わせ笑い合う。

「忘れらない1日になったね」

「うん!」

今にでもスキップしそうな勢いの燈真を優しい目で見つめている皇坂くん。
その表情にもときめいてしまう私は相当大好きなんだなと実感する。

「俺も今日は忘れらない日になったよ。ありがとう」

その言葉とともに皇坂くんはふわっと笑った。

「ほんと、皇くん格好いいですよね・・・」

燈真の言葉に心の中で共感する。
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