冷徹王子の甘い笑顔【番外編】
「惚れたか?」

ニヤッと笑った皇坂くんに私と燈真は言葉がでなかった。
その代わりにじっと見つめる。

「・・・恥ずかしいから何か言ってくれ」

耐え切れなかったのか鼻の頭を触りながら顔を隠す。

「あまりにも格好よすぎて言葉がでなかったです」

「同じくです・・・」

燈真の言葉に続いて私もそう言うと「なんだそれっ」と笑っていた。
照れたり笑ったりする皇坂くんの表情に無意識に見惚れていたのか
隣を歩いていた燈真がニヤニヤしながら私を見つめていたことは気付かなかった。

「じゃあ、皇坂くん今日は本当にありがとう」

「ありがとうございました!」

公園の出口まで来た私たちは皇坂くんと帰り道が反対なため、ここでお別れだった。

「俺のほうこそ、ありがとう。
帰り道気を付けてな。」

それだけ言うと私と燈真に「先行って」と微笑んだ。
きっと私たちが見えなくなってから帰るんだろうなと思った。
その優しさに胸がじんわり温かくなる。

「燈真、いこっか」

「うん!」

「バイバイ!」と言いながら手を振る私たちに皇坂くんも小さく振り返してくれた。
しばらく背を向け歩いていたが、信号を渡り何気なく振り返った私に気付いた皇坂くんは右手をあげ手を振ってくれた。

隣を歩く燈真に気付かれないようにそっと振り返す。
嬉しそうに笑う皇坂くんの顔が見え、体が熱くなるのを感じた。
笑顔が可愛い・・・。好き。

火照った顔を隠すかのように隣で楽しそうに話をしている燈真に視線を移す。
角を曲がるとき、もう一度振り返ったが皇坂くんはもういなかった。

暗くなった夜道を燈真と2人で歩く。
「今日のご飯はなんだろうね」と話しながら家までの道のりをゆっくり歩いた。
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