冷徹王子の甘い笑顔【番外編】
圭がベンチから立ち上がると皇坂くんの前に座った。

「思ったこと全部話せ」

その言葉に少し躊躇いながら細く息を吐くと、

「本当に深い意味はない。ただ」

圭から視線を逸らし皇坂くんは立ち上がった。

「俺はバスケ部じゃないから普段の動きを知らない。
徹がどんな風に指示を飛ばしているのか、
圭がどういう風に動いて攻めているのか、
南於、愁斗がいつもどんなプレーをしてチーム全体を支えているのか、
何も知らない。」

ベンチに置いてあるタオルを手に取ると汗を拭く皇坂くん。

「先輩たちと試合してるとき、全員の動きが変わったように感じた。
相手がバスケ部の先輩だからこそ大会の時みたいに動いているんだろうなって。
それだったら俺は好きなように動いた方が徹も指示をだしやすいかなって思っただけ」

タオルをベンチに置くと自分のペットボトルを手に取りぐいっと水を飲む。

「まぁ、徹に聞く前にちょっとずつ自由に動いてたけど。
普段一緒にプレーしてる仲間ならではの空気感もあると思うし、
4プラス1っていう感覚でやってはいないけど、
俺は試合の流れを変える何かになれたらいいなとは思ってる」

ペットボトルをベンチに置くと突然後ろから誰かに抱き着かれた。

「っ!」

咄嗟に振り向くと満面な笑顔の南於がいた。

「は?」

「麗!!!」

「なに」

突然のことに驚いている皇坂くんを無視し、

「そんな風に考えてくれてたのか」

「どこまでも格好いいやつだな」

愁斗、圭も皇坂くんの近くまで歩み寄る。
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