冷徹王子の甘い笑顔【番外編】
「麗ってバスケ大好きなんだね」

笑いながら徹も皇坂くんの近くまで行く。

「別に、」

顔を背けた皇坂くんだったが耳は微かに赤かった。

「え、照れてる?」

「まじ?」

南於、圭の言葉に「うるせぇ」と言葉を返していたが、
その姿に愁斗、徹は笑みが零れた。

「よっし!円陣組も!」

南於の言葉に笑いながらその場で円になる。

「麗がさっき言ってくれた通りで後半戦は進めようと思う。
俺たちはいつも通り大会の時にみたいに動いていこう。
そして麗は自由に好きに動いて。
なんだってしたっていい。俺たちは麗とバスケが出来て楽しいから。

この5人でバスケが出来るのは今回が最後だからな。
思いっきり楽しんで暴れてやろうぜ!」

徹の言葉に皆の顔に笑顔が灯る。
緊張した空気はなく純粋に勝負を楽しむこの空気感が心地いいとさえ、
ここにいる5人は思っていた。

「後半戦いくぞ!」

『おぉー!!!』

皇坂くんたちの円陣をコートの外から見守っていた私たち。
5人の声が聞こえ、私たちから拍手と歓声が沸き起こる。

「がんばれ」

無意識に私の口からでた言葉。
視線の先には大好きな彼。

両手を胸の前でぎゅっと握り、祈るようにコートを見つめた。
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