冷徹王子の甘い笑顔【番外編】
コートにいるみんなの表情が苦しいものに変わっていた。
ボールに触れてもすぐに取られてしまい、
シュートを打っても決まらない。

「麗!」

圭が皇坂くんにパスをしボールを受け取るが、
ドリブルをしようとした途端、
短髪の先輩にいとも簡単にボールを取られてしまった。

「っ・・・」

すぐに追いかけるが追いつくことが出来ず、
シュートを決める姿を見ることしか出来なかった。

ピーッ!

第3Qが終わる合図の笛が鳴った。
得点版を見ると開いていた点差が僅か2点差までに縮んでいた。

それぞれのチームがベンチに戻る。
私たちのクラスのチームはどこか背中が寂しそうに見えた。

「先輩たち本気だわ」

「前半戦の反省を後半戦に活かしてきてる」

圭、愁斗の言葉に徹も「うーん・・・」と考え込む。

「麗の動きが読まれているのが一番のネックだな・・・」

「完全に攻略されちゃってるよね」

徹の言葉に南於が苦笑いを零しながら先輩たちのベンチを見る。

「攻略してるのは黒瀬先輩だよなぁ、」

「絶対そう」

2人の言葉に皇坂くんも先輩たちのベンチを見た。
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