冷徹王子の甘い笑顔【番外編】


しばらく見ていると、

「お姉ちゃーん!」

燈真の呼ぶ声が聞こえた。

「なにー?」と返すと、
「こっちに来てー!」と言われたので走って2人の元へ行く。

「どうしたの?」

改めて燈真に聞くと

「今から皇くんがシュート打ってくれる!」

嬉しそうに目を輝かせながら教えてくれた。

「皇くんがシュートを打つところ初めて見る!」

燈真の話によると、いつもは止まった状態で教えてくれるから
ドリブルをした上でシュートを打つところを見るのが初めてらしい。

「久しぶりだな」

トンットン、っとボールをつきながら小さな声で呟く皇坂くんはどこか緊張しているようにも見えた。
でもそれと同時にワクワクしているようにも見える。

「ふぅー・・・」

細く息を吐くとトンットン、っとボールをつきながらゴールに近付いていく。
その後ろ姿はとても綺麗で無駄な動きが一切なく、
まるで羽が生えているかのように軽やかだった。

シュッ

皇坂くんが放ったボールは綺麗な弧を描き、
ゴールに吸い込まれていった。
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