冷徹王子の甘い笑顔【番外編】
「一緒に帰ろ?」

もう一度、皇坂くんは私に言うと少し恥ずかしそうに顔を背けたが、
私が「うん!」と返事をすると、とても優しく笑ってくれた。

「鞄とってくるね!」

そっと皇坂くんの手を離し自分の席に戻ると鞄を肩にかけ、
手に持っていたアイスの棒を袋に入れたあと
大好きな彼の元へ向かった。

クラスメイトからは注目の的だったが、もう何でもいい。
皇坂くんと一緒に過ごせるなら何でも。

「じゃあ、帰るね」

私の言葉に皆は手を振ってくれた。

「今日はありがとう、マジで楽しかった」

皇坂くんもそう伝えると私たちは手を繋いだまま教室を出た。

案の定、すれ違う人から驚きの声が聞こえたが私たちは気にすることなく校舎を歩き、
靴を履き替え、学校を後にした。

「来週から質問責めにあっちゃうね」

「そうだな」

駅まで歩く道中、私たちは手を離すことなく今日の出来事を話した。

「体操服で下校するとか変な感じだよね」

着替えずに出てきてしまったため、私たちの服は体操着のままだった。

「家に着いたら制服ださないとしわになっちゃう」

「確かに。でもなぁ、このあといつもの公園に行きたいなって思ってたんだけど少し寄ってもいい?」

「うん!
でも今日は燈真は部活の後に友達と遊びに行くって言ってたからいないけど・・?」

「うん、知ってる。
今日は逢原さんと一緒に行きたい」

「わかった!行こっか!」

私の返事に皇坂くんは嬉しそうに笑った。
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