冷徹王子の甘い笑顔【番外編】
「俺、今日ほんとにすげぇ楽しかった。
久しぶりに学校であんなにも笑った。
バスケが楽しいって、心の底から思った」

そこまで言うと私の頬から手を離す。
そしてそのまま優しく抱き締められた。

「こうやって思える日がまた来たのも全部逢原さんと出会えたから。
ありがとう、本当にありがとう」

皇坂くんの気持ちが声色から痛いほど伝わってきて、
私は無意識のうちに自分の腕を皇坂くんの背中にまわしていた。

「たくさん笑えたのもバスケが楽しいと思えたのも
皇坂くんがその気持ちを忘れていなかったからだよ。
今日の皇坂くんめちゃくちゃ格好良かった!」

ぎゅうっと抱き着くと「ほんっと逢原さんには適わないよ」という声が耳元で聞こえた。

「んー?私のこと大好きだって~?」

抱き着いたまま体を左右に揺らし冗談交じりにそう言うと、そっと体を離された。

「?」

なんだろうと思っていたら

「大好きに決まってる」

その言葉と同時に皇坂くんの綺麗な顔が近付いてきた。
鼻と鼻が触れお互いの息が顔にかかる距離。
私は自然と目を瞑った。

唇が触れ合う。
お互いの熱を感じるかのように長く。

ゆっくり離れ、私が目を開けたとき
幸せそうに笑う皇坂くんの顔が目の前にあった。
私も微笑み返すと、ちゅっと触れるだけのキスが降ってきた。
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