きみがいた。
「おきゃくさまきたー!」走ってきておじいさんの足に纏わりついている女の子は、ちびまる子ちゃんみたいなおかっぱ頭だった。
「こんちわ!あたし、しおちゃん!」僕は警戒して、押し黙る。
「しおちゃん、この子はかずちゃんやで。まあまあ入り」これが、僕と紫織とのまばゆい出会いだった。
居間のテーブルに、おばあさんは座ってトランプの1人ゲームをしていた。おばあさんはタバコを吸い殻入れに戻して、僕に言った。
「かずちゃんか、よろしくね」それだけ言って、おばあさんはまたトランプを始めた。とても静かなおばあさんみたいだ。
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