きみがいた。
来るは、初めての東京。

「紫織!」手を振ってくれたかずにいは、もはや都会っ子で、とても垢抜けていた。
スーツケースを持ってくれて車道側を歩いてくれるかずにい。女子の扱いに慣れているのを感じて、わたしは少し落ち込んだ。わたしはもう、はじめてじゃ、ないのか……
ホテルに荷物を預けた時に、かずにいは言った。
「ねえ、今度こそ行ってみない?」
かずにいのおかあさんの言っていた、「美術館のチューの絵」は、東京の美術館に今の期間展示されていて、それを見に行くことにした。

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