死神×少女
「それでね、その人ってどこかおかしいのよ」
下校途中、亜矢は親友の美保に向かって、先日のお隣さんの事を話していた。
「引越して来たと言っても、荷物が運ばれて来た様子もないし…」
思い出しては不審に思う亜矢に対し、美保はキョトンとしている。
「亜矢、何言ってるの?亜矢の隣の部屋にグリアくんが引越してきたのは随分前の事じゃない」
「え?」
亜矢は美保の顔を凝視した。
純粋な視線を向ける彼女の表情からは、嘘や冗談を言っている様子は伺えなかった。
「み、美保こそ何言って……。それに『グリア』って誰…………」
そう言った時、道路を挟んだ向こう側の道に歩く一人の少年の姿が目に入った。
銀の髪、その身長。忘れるはずもない、『彼』だった。
「あーーーっ!!あの人ッ!!」
指さして叫ぶ亜矢だったが、美保の方は相変わらず落ち着いている。
「噂をすればグリアくん、ね」
そんな美保を見て、亜矢が増々訳が分からなくなってきた。
『グリア』なんて人は、知らない。
ただ、あのは人は自分の隣に引越して来た人。それだけ。
なのに、何で———
「何で、ウチの高校の制服着てるのよッ!?」
「あ、亜矢ッ!?」
もはや美保の声も耳に届かず。
亜矢は我を忘れ、道路に飛び出した。
そんな事などに気付きもせず、どんどん歩いて行く彼に向かって亜矢は走り出した。
別に、彼を追いかける理由も、必要も今はない。彼は隣に住んでいるのだから。
でも———何故かその時は、身体が動いた。
「亜矢!!」
美保の叫び声が聞こえた。
「亜矢、危ないッ……!!」
—————え?
『彼』の方にしか視線を向けてなかった亜矢には、自分に迫り来るものすら見えなくて。
鳴り響く、ブレーキの音。
状況を頭で把握しても、すでに身体を動かすには遅い。
その瞬間、目に映っていた『彼』が、ふとこちらを向き、
…………微かに笑っていた。
それからの亜矢の意識は…………ない。
下校途中、亜矢は親友の美保に向かって、先日のお隣さんの事を話していた。
「引越して来たと言っても、荷物が運ばれて来た様子もないし…」
思い出しては不審に思う亜矢に対し、美保はキョトンとしている。
「亜矢、何言ってるの?亜矢の隣の部屋にグリアくんが引越してきたのは随分前の事じゃない」
「え?」
亜矢は美保の顔を凝視した。
純粋な視線を向ける彼女の表情からは、嘘や冗談を言っている様子は伺えなかった。
「み、美保こそ何言って……。それに『グリア』って誰…………」
そう言った時、道路を挟んだ向こう側の道に歩く一人の少年の姿が目に入った。
銀の髪、その身長。忘れるはずもない、『彼』だった。
「あーーーっ!!あの人ッ!!」
指さして叫ぶ亜矢だったが、美保の方は相変わらず落ち着いている。
「噂をすればグリアくん、ね」
そんな美保を見て、亜矢が増々訳が分からなくなってきた。
『グリア』なんて人は、知らない。
ただ、あのは人は自分の隣に引越して来た人。それだけ。
なのに、何で———
「何で、ウチの高校の制服着てるのよッ!?」
「あ、亜矢ッ!?」
もはや美保の声も耳に届かず。
亜矢は我を忘れ、道路に飛び出した。
そんな事などに気付きもせず、どんどん歩いて行く彼に向かって亜矢は走り出した。
別に、彼を追いかける理由も、必要も今はない。彼は隣に住んでいるのだから。
でも———何故かその時は、身体が動いた。
「亜矢!!」
美保の叫び声が聞こえた。
「亜矢、危ないッ……!!」
—————え?
『彼』の方にしか視線を向けてなかった亜矢には、自分に迫り来るものすら見えなくて。
鳴り響く、ブレーキの音。
状況を頭で把握しても、すでに身体を動かすには遅い。
その瞬間、目に映っていた『彼』が、ふとこちらを向き、
…………微かに笑っていた。
それからの亜矢の意識は…………ない。