死神×少女
亜矢は思わず反射的にグリアから離れ、ベッドの上に乗り避難した。
グリアは立ち上がり、自分もベッドの上へと乗り出す。
「心臓に力を送り込むには口移しが一番なんだよ」
「い、いやっ!何であたしがあんたなんかとッ…!!」
「生き延びたくねえのか?」
「あんたなんかとするくらいなら、死んだ方がマシ…!!」
そう言った瞬間だった。
ズキン……!!
心臓に何か大きな衝撃が走り、亜矢はガクっと体勢を崩した。
「………な、なに…………?」
胸を押さえる亜矢。息苦しく、呼吸も荒くなる。
グリアは冷静に、冷たくも見えるその瞳で亜矢を見下した。
「ホラ、電池切れだ」
「う…………」
苦しさのあまり、声が出ない。
自然と、目の端に涙が浮かぶ。
「そのままだとあんた、本当に死ぬぜ」
それでもグリアを見上げ、抵抗の意志を示す。
もちろん、死にたくはない。
でも、コイツの言いなりにもなりたくない。
亜矢のそんな意地と、生きる事への執着心が葛藤している。
どうする事もできない。苦しい。
「たす………けて」
「!」
グリアは目を見開いた。
「助…け………て……」
それは、グリアに向けて言われた言葉ではないだろうし、命乞いでもない。
ただ、苦しさのあまりに漏れた言葉。
亜矢が苦しむ姿を見ていられなくなったのか。
亜矢の言葉が、再び死神を動かした。
グリアは亜矢の身体を抱きかかえると、亜矢に向かって言い聞かせる。
「オレ様が生かしてやるって言ってるんだ、悪いようにはしねえ」
それは、今までにない、優しさを含んだような…。
片手で亜矢の身体を支え、もう一つの片手を亜矢の頭の後ろに回し固定する。
「少しぐらい我慢しな」
そのグリアの言葉を聞き、亜矢は細めていた瞳を完全に閉じた。
このまま目を閉じてしまえば、待っているものは死か、それとも——?
唇に触れた、何かの感触。
それと同時に、暖かい何かの力が注ぎ込まれていくのが感じられた。
その力は体内を巡り、ちょうど胸の辺で集結されていく。
何か、とても心地よい暖かさに思えた。
気が付けば、苦しさも全くなくなっていた。
心地よい眠りから覚めるようにそっと目を開ける亜矢。
だが、目の前にあったものは———
綺麗すぎる、『アイツ』の顔だった。
「きゃあぁああ〜〜ッ!!」
ドガッ!!
「でっ!!」
亜矢は片足で思いっきりグリアを蹴り飛ばし、ベッドがら落とした。
「て、テメエ!!人がせっかく力を注いで…!!」
「何するのよっ!!この変態ーー!!」
「24時間に1回の事くらい我慢しろよな!」
「何よそれっ!?何であたしが好きでもない男と毎日キスしなきゃなんないのよ!冗談じゃない!」
「キスとは言ってねえよ、口移しだ」
「同じ事よ、バカッッ!!」
はぁ、はぁと息を切らして、ひとまず息継ぎをする。
でも確かに、亜矢はこの死神に生かしてもらっているのだ。
「一生、ずっとこのままなんてごめんだわ。他に方法はないわけ?」
グリアはニヤっと笑った。
「ない訳でもねえが……その為には最大級の力を注ぎ込まなきゃな。その方法、知りてえか?」
亜矢の全身を舐めるようにして見るグリアに、亜矢はゾっとした。
「いい、知りたくないわ……」
これから先の事を思うと、気が重くなる。
グリアは再び、偉そうにあぐらをかいて床に座り直した。
「とりあえず、メシ作れ」
「な、何であたしが…!!早く帰ってよ!」
「いいから作れよ。命の代償に思えば安いものだろ」
もはやこれは完全に脅迫。
こうしてこの死神は、亜矢の部屋でしっかりと夕飯を食べていった。
死神に生かされた少女。
そして、これから再び始まる日常には、今までにいなかったはずの人が存在する。
死神グリア。
断ち切れない、命の絆。
それは、一人の人間の少女を手に入れる為の、
死神の最終手段なのかもしれない。
グリアは立ち上がり、自分もベッドの上へと乗り出す。
「心臓に力を送り込むには口移しが一番なんだよ」
「い、いやっ!何であたしがあんたなんかとッ…!!」
「生き延びたくねえのか?」
「あんたなんかとするくらいなら、死んだ方がマシ…!!」
そう言った瞬間だった。
ズキン……!!
心臓に何か大きな衝撃が走り、亜矢はガクっと体勢を崩した。
「………な、なに…………?」
胸を押さえる亜矢。息苦しく、呼吸も荒くなる。
グリアは冷静に、冷たくも見えるその瞳で亜矢を見下した。
「ホラ、電池切れだ」
「う…………」
苦しさのあまり、声が出ない。
自然と、目の端に涙が浮かぶ。
「そのままだとあんた、本当に死ぬぜ」
それでもグリアを見上げ、抵抗の意志を示す。
もちろん、死にたくはない。
でも、コイツの言いなりにもなりたくない。
亜矢のそんな意地と、生きる事への執着心が葛藤している。
どうする事もできない。苦しい。
「たす………けて」
「!」
グリアは目を見開いた。
「助…け………て……」
それは、グリアに向けて言われた言葉ではないだろうし、命乞いでもない。
ただ、苦しさのあまりに漏れた言葉。
亜矢が苦しむ姿を見ていられなくなったのか。
亜矢の言葉が、再び死神を動かした。
グリアは亜矢の身体を抱きかかえると、亜矢に向かって言い聞かせる。
「オレ様が生かしてやるって言ってるんだ、悪いようにはしねえ」
それは、今までにない、優しさを含んだような…。
片手で亜矢の身体を支え、もう一つの片手を亜矢の頭の後ろに回し固定する。
「少しぐらい我慢しな」
そのグリアの言葉を聞き、亜矢は細めていた瞳を完全に閉じた。
このまま目を閉じてしまえば、待っているものは死か、それとも——?
唇に触れた、何かの感触。
それと同時に、暖かい何かの力が注ぎ込まれていくのが感じられた。
その力は体内を巡り、ちょうど胸の辺で集結されていく。
何か、とても心地よい暖かさに思えた。
気が付けば、苦しさも全くなくなっていた。
心地よい眠りから覚めるようにそっと目を開ける亜矢。
だが、目の前にあったものは———
綺麗すぎる、『アイツ』の顔だった。
「きゃあぁああ〜〜ッ!!」
ドガッ!!
「でっ!!」
亜矢は片足で思いっきりグリアを蹴り飛ばし、ベッドがら落とした。
「て、テメエ!!人がせっかく力を注いで…!!」
「何するのよっ!!この変態ーー!!」
「24時間に1回の事くらい我慢しろよな!」
「何よそれっ!?何であたしが好きでもない男と毎日キスしなきゃなんないのよ!冗談じゃない!」
「キスとは言ってねえよ、口移しだ」
「同じ事よ、バカッッ!!」
はぁ、はぁと息を切らして、ひとまず息継ぎをする。
でも確かに、亜矢はこの死神に生かしてもらっているのだ。
「一生、ずっとこのままなんてごめんだわ。他に方法はないわけ?」
グリアはニヤっと笑った。
「ない訳でもねえが……その為には最大級の力を注ぎ込まなきゃな。その方法、知りてえか?」
亜矢の全身を舐めるようにして見るグリアに、亜矢はゾっとした。
「いい、知りたくないわ……」
これから先の事を思うと、気が重くなる。
グリアは再び、偉そうにあぐらをかいて床に座り直した。
「とりあえず、メシ作れ」
「な、何であたしが…!!早く帰ってよ!」
「いいから作れよ。命の代償に思えば安いものだろ」
もはやこれは完全に脅迫。
こうしてこの死神は、亜矢の部屋でしっかりと夕飯を食べていった。
死神に生かされた少女。
そして、これから再び始まる日常には、今までにいなかったはずの人が存在する。
死神グリア。
断ち切れない、命の絆。
それは、一人の人間の少女を手に入れる為の、
死神の最終手段なのかもしれない。