多分悪役令嬢ですが、うっかりヒーローを餌付けして執着されています
第87話 気付いた理由
「ふぅ~……やっと出て行ったか……」
エドが扉を見つめてため息をつく。
「ちょっといつまで抱きしめてるんですか? 離して下さいよ」
「あ、悪い」
腕の中でもがくとエドが手を離し、やっと私は自由になれた。
「全く……いくらカレンを追い払う為とはいえ、勘違いされるような言動は控えて下さいよ。いいですか? エド」
「え? 別に俺はそういうつもりじゃ……」
そこへ、魔女が声をかけてきた。
「まぁいいから、いいから。あの小娘も出て行ったところだしね。それで? 一体今日は何の用事で私の所に来たのかしら?」
「あ、その件なんですけど……そろそろ、例のアレが無くなる頃ではないかと思って、持ってきたんです」
私の言葉にエドが反応する。
「何だ? 例のアレって。いかがわしい事でもしているのか?」
「そんなことするはずないじゃないですか。はい、どうぞ魔女さん」
私はモバイルバッテリーをカウンターに置いた。
「え? これは何?」
魔女はモバイルバッテリーを手に取り、しげしげと見つめる。
「これはスマホの充電器ですよ。勿論フル充電してあります。そろそろバッテリーが無くなった頃では無いですか?」
「そう! そうなのよ! ついさっき、スマホを見つめていたら突然画面が真っ暗になって、何も映らなくなってしまったのよぉ~!! そこですることが無くなっちゃったから、おやつのケーキを食べていたら……あの狂暴女がいきなり店に押し入ってきたのよ。もう、いやになっちゃう!」
唇を尖らせる魔女は、やはりどこから見ても子供にしか見えない。
「それは災難でしたね。はい、ここをこうやって差せば充電できますから」
相槌を打ちながらスマホに充電器を差してあげる。
「ありがとう! これでまた遊べるのね?」
魔女はバッテリーが差し込まれたスマホをキラキラした目で見つめる。
一方、首を傾げているのはエドだった。
「スマホ……? モバイルバッテリー? 充電……? 一体何のことだ? さっぱり分からないな……」
「それじゃ、このまま少しの間充電させておいてください。いいですね?」
「分かったわ、すぐに遊びたいところだけど我慢ね」
頷く魔女に、私は先程疑問に思ったことを尋ねることにした。
「あの、先程カレンとの会話で疑問に思ったことがあるのですが……良いですか?」
「いいわよ。何? 立ち話もなんだから、二人とも座ったら」
魔女がカウンターの隅に積み上げられた椅子を指さしたので私とエドは椅子を持ってくると腰かけ、早速魔女に質問した。
「魔女さん、さっきカレンが変装して身元を偽っていたと話していましたよね?」
「うん、珍しい赤い瞳に髪の毛も長い銀髪だったのよ」
カレンの瞳は青いし、髪の毛だって茶色くて肩先迄しかない。それでは気付くはずも無いだろう。
「それならよく、彼女がカレンだと気づいたな?」
エドが尋ねる。
「フッフッフッ…‥‥私、耳には自信があるのよ。一度耳にした声は絶対に忘れない。これも魔女の特殊能力の一つよ。だけど、どうやって瞳の色を変えたのかしら……あんな魔法初めてだわ」
「……魔法じゃないかもしれません」
ポツリと呟く。
「魔法じゃない?」
「一体どういうことなの?」
魔女とエドが首を傾げる。
「はい! カレンは恐らくカラコンとウィッグをつけてこの店を訪ねたに違いありません!!」
私はきっぱり言い切った――
エドが扉を見つめてため息をつく。
「ちょっといつまで抱きしめてるんですか? 離して下さいよ」
「あ、悪い」
腕の中でもがくとエドが手を離し、やっと私は自由になれた。
「全く……いくらカレンを追い払う為とはいえ、勘違いされるような言動は控えて下さいよ。いいですか? エド」
「え? 別に俺はそういうつもりじゃ……」
そこへ、魔女が声をかけてきた。
「まぁいいから、いいから。あの小娘も出て行ったところだしね。それで? 一体今日は何の用事で私の所に来たのかしら?」
「あ、その件なんですけど……そろそろ、例のアレが無くなる頃ではないかと思って、持ってきたんです」
私の言葉にエドが反応する。
「何だ? 例のアレって。いかがわしい事でもしているのか?」
「そんなことするはずないじゃないですか。はい、どうぞ魔女さん」
私はモバイルバッテリーをカウンターに置いた。
「え? これは何?」
魔女はモバイルバッテリーを手に取り、しげしげと見つめる。
「これはスマホの充電器ですよ。勿論フル充電してあります。そろそろバッテリーが無くなった頃では無いですか?」
「そう! そうなのよ! ついさっき、スマホを見つめていたら突然画面が真っ暗になって、何も映らなくなってしまったのよぉ~!! そこですることが無くなっちゃったから、おやつのケーキを食べていたら……あの狂暴女がいきなり店に押し入ってきたのよ。もう、いやになっちゃう!」
唇を尖らせる魔女は、やはりどこから見ても子供にしか見えない。
「それは災難でしたね。はい、ここをこうやって差せば充電できますから」
相槌を打ちながらスマホに充電器を差してあげる。
「ありがとう! これでまた遊べるのね?」
魔女はバッテリーが差し込まれたスマホをキラキラした目で見つめる。
一方、首を傾げているのはエドだった。
「スマホ……? モバイルバッテリー? 充電……? 一体何のことだ? さっぱり分からないな……」
「それじゃ、このまま少しの間充電させておいてください。いいですね?」
「分かったわ、すぐに遊びたいところだけど我慢ね」
頷く魔女に、私は先程疑問に思ったことを尋ねることにした。
「あの、先程カレンとの会話で疑問に思ったことがあるのですが……良いですか?」
「いいわよ。何? 立ち話もなんだから、二人とも座ったら」
魔女がカウンターの隅に積み上げられた椅子を指さしたので私とエドは椅子を持ってくると腰かけ、早速魔女に質問した。
「魔女さん、さっきカレンが変装して身元を偽っていたと話していましたよね?」
「うん、珍しい赤い瞳に髪の毛も長い銀髪だったのよ」
カレンの瞳は青いし、髪の毛だって茶色くて肩先迄しかない。それでは気付くはずも無いだろう。
「それならよく、彼女がカレンだと気づいたな?」
エドが尋ねる。
「フッフッフッ…‥‥私、耳には自信があるのよ。一度耳にした声は絶対に忘れない。これも魔女の特殊能力の一つよ。だけど、どうやって瞳の色を変えたのかしら……あんな魔法初めてだわ」
「……魔法じゃないかもしれません」
ポツリと呟く。
「魔法じゃない?」
「一体どういうことなの?」
魔女とエドが首を傾げる。
「はい! カレンは恐らくカラコンとウィッグをつけてこの店を訪ねたに違いありません!!」
私はきっぱり言い切った――