俺様CEOの子どもを出産したのは極秘です
31 写真の女性
週明けの月曜日。
朝一で、地方の田舎に住んでいる母方の祖母から、はしゃぐ電話がかかってきた。
「え? 総悟さん、そっちにまでわざわざ……!?」
『そうなのよ。飛行機でわざわざ獅童のパパが挨拶に来たの。事情があって結婚できなかったって丁寧に教えてくれたのよ。それにしたって獅童が可愛い理由がよく分かったわ。すごくイケメンじゃない? おばあちゃんは俳優さんが尋ねてきたと思ったわよ。桃花ちゃん、おばあちゃんとおじいちゃんにウェディングドレス姿をぜひ見せてちょうだいね』
祖母のテンションが高すぎて、「まだ結婚するとは決めていない」とは言い難い雰囲気だった。
(祖父母の許可から先にもらいに行くとか、総悟さん、卑怯すぎる)
そうは思うが、総悟が真剣に桃花との結婚を望んでくれているのが分かるので、なんとなく心が躍ってしまう。
獅童の着替えを済ませた後、ご飯を食べさせて、生えかけの歯を少しだけブラッシングするとピカピカになって気分が良くなった。
「そろそろ七時になるわね。さあ、獅童行きましょうか!」
「うん!」
そうして、獅童と手を繋いで外に出ると……
なんと、マンションの駐車場に見覚えのある白い外車が停車している。
バタンとドアが開いて外に出てきたのは……
「桃花ちゃん、おはよう」
「社長!?」
案の定、総悟だった。スーツをきっちりきこなして、朝から最高に爽やかな笑みを浮かべている。
(朝はどちらかと言えば苦手な総悟さんが、まさか待ち構えているなんて……)
「今日から俺も、桃花ちゃんの育児の手伝いを始めようかと思って」
「え?」
「さあ、乗ってごらん。俺がその子を子ども園まで送ってあげるよ」
「ええっと……」
ふと、獅童を見ると、桃花の影に隠れて、総悟のことをジッと見ていた。
(というよりも威嚇している?)
獅童が前に躍り出るとバッと両手を開き、総悟に向かって吠える。
「まま! しどうの!」
総悟の機嫌が一気に悪くなると、獅童のことを見下ろしはじめた。
「何? ちびっこ、君はママを守る騎士気分のようだけど、父親の俺が魔王か何かに見えてるのかな?」
総悟と獅童がバチバチ火花を飛ばしはじめた。
(総悟さん、大人げない)
桃花ははあっとため息を吐くと、獅童の手を引っ張って歩きはじめる。
「送迎の手伝いは結構です。さあ、獅童、行きましょう」
だが、次の瞬間。
「ほら、ちびっこ、俺が君の欲しいものを手に入れてきたよ。E5系はやぶさだよ」
総悟が車の中から、新たな玩具を差し出してきた。先日とは違う電車の玩具だ。
「わあ!」
先ほどまで機嫌の悪かった獅童の瞳が一気に爛々と輝きはじめる。ガチャガチャと音を鳴らしながら食いついた。
「そんなにたくさんオモチャを与えないでください! 総悟さんみたいにお金遣いが荒い大人に育ったらどうするんですか!」
抗議する桃花の前に、総悟が車の中から何か取り出した。
「桃花ちゃんにはこれ」
「え?」
なんと、いつも購入しているウサギのぬいぐるみ(桃色・大)を手渡された。
「くっ……」
「さあ、桃花ちゃん、ちびっこ、一緒に行こう」
結局、獅童は玩具に夢中になってしまって引き剥がすのが大変だから、総悟の車で送ってもらうことになった。
この日以降、総悟は毎日送迎を手伝ってくれるようになったのだ。
朝一で、地方の田舎に住んでいる母方の祖母から、はしゃぐ電話がかかってきた。
「え? 総悟さん、そっちにまでわざわざ……!?」
『そうなのよ。飛行機でわざわざ獅童のパパが挨拶に来たの。事情があって結婚できなかったって丁寧に教えてくれたのよ。それにしたって獅童が可愛い理由がよく分かったわ。すごくイケメンじゃない? おばあちゃんは俳優さんが尋ねてきたと思ったわよ。桃花ちゃん、おばあちゃんとおじいちゃんにウェディングドレス姿をぜひ見せてちょうだいね』
祖母のテンションが高すぎて、「まだ結婚するとは決めていない」とは言い難い雰囲気だった。
(祖父母の許可から先にもらいに行くとか、総悟さん、卑怯すぎる)
そうは思うが、総悟が真剣に桃花との結婚を望んでくれているのが分かるので、なんとなく心が躍ってしまう。
獅童の着替えを済ませた後、ご飯を食べさせて、生えかけの歯を少しだけブラッシングするとピカピカになって気分が良くなった。
「そろそろ七時になるわね。さあ、獅童行きましょうか!」
「うん!」
そうして、獅童と手を繋いで外に出ると……
なんと、マンションの駐車場に見覚えのある白い外車が停車している。
バタンとドアが開いて外に出てきたのは……
「桃花ちゃん、おはよう」
「社長!?」
案の定、総悟だった。スーツをきっちりきこなして、朝から最高に爽やかな笑みを浮かべている。
(朝はどちらかと言えば苦手な総悟さんが、まさか待ち構えているなんて……)
「今日から俺も、桃花ちゃんの育児の手伝いを始めようかと思って」
「え?」
「さあ、乗ってごらん。俺がその子を子ども園まで送ってあげるよ」
「ええっと……」
ふと、獅童を見ると、桃花の影に隠れて、総悟のことをジッと見ていた。
(というよりも威嚇している?)
獅童が前に躍り出るとバッと両手を開き、総悟に向かって吠える。
「まま! しどうの!」
総悟の機嫌が一気に悪くなると、獅童のことを見下ろしはじめた。
「何? ちびっこ、君はママを守る騎士気分のようだけど、父親の俺が魔王か何かに見えてるのかな?」
総悟と獅童がバチバチ火花を飛ばしはじめた。
(総悟さん、大人げない)
桃花ははあっとため息を吐くと、獅童の手を引っ張って歩きはじめる。
「送迎の手伝いは結構です。さあ、獅童、行きましょう」
だが、次の瞬間。
「ほら、ちびっこ、俺が君の欲しいものを手に入れてきたよ。E5系はやぶさだよ」
総悟が車の中から、新たな玩具を差し出してきた。先日とは違う電車の玩具だ。
「わあ!」
先ほどまで機嫌の悪かった獅童の瞳が一気に爛々と輝きはじめる。ガチャガチャと音を鳴らしながら食いついた。
「そんなにたくさんオモチャを与えないでください! 総悟さんみたいにお金遣いが荒い大人に育ったらどうするんですか!」
抗議する桃花の前に、総悟が車の中から何か取り出した。
「桃花ちゃんにはこれ」
「え?」
なんと、いつも購入しているウサギのぬいぐるみ(桃色・大)を手渡された。
「くっ……」
「さあ、桃花ちゃん、ちびっこ、一緒に行こう」
結局、獅童は玩具に夢中になってしまって引き剥がすのが大変だから、総悟の車で送ってもらうことになった。
この日以降、総悟は毎日送迎を手伝ってくれるようになったのだ。