俺様CEOの子どもを出産したのは極秘です
待ち合わせ先には、二つ隣の駅前のバス停近くの駐車場を指定してある。
桃花はちょっと早めの時間に到着したと思っていたけれど、総悟の海外製の車が先に停車していた。
バス停に立っている女性たちが、彼の顔をチラチラ見て頬を染めている。
彼女たちの視線を気に留めた様子もなく、気付いた総悟が桃花に近づいてくると、そっと肩に手を置かれる。
「ごめんね、桃花ちゃん、待たせたかな? はい、俺の車にどうぞ」
淡いブルーのオープンカラーの半袖シャツと紺のテーパードパンツに白いレザーのスニーカーという、すっきり爽やかな着こなしだ。
(スーツ姿の総悟さんも素敵だけど、私服も爽やかでカッコイイ)
そうして、彼の白い外車へと案内される。
海外の会社の車だが日本準拠で製造されているようで右ハンドルの車だった。
助手席に座ると、総悟の綺麗な横顔が目に入って、心臓がドクンと跳ね上がった。
(なんだろう、カッコイイ)
相手の太い喉仏とハンドルにかかった長い指がやけに目に入る。
ときめいてしまった自分を律しながら、桃花は問いかけた。
「二階堂社長、本日はどちらに行かれるのでしょうか? 指定された通り、歩いても疲れない格好で来ました」
すると、総悟が車を走らせながら、少年のように告げてくる。
「桃花ちゃんと一緒に行きたかった遊園地だよ」
「遊園地……!」
そうして、二人して遊園地に出掛けることになったのだった。