フェンリルに捧ぐ愛の契り 〜旦那さまを溺愛してもいいのは私だけです! 耳を食みたいのです!〜


これではただの同居人であり、嫁とは言えない。

本質は狼なのだから人間には興味がないのかもしれない。

ルーナにとってリアムは特別な存在だ。

婚姻を結んで共に生きていく覚悟をもってきたが、考えが甘かった。

(好奇心ではおさえられなくなった。だって、この気持ちは……)

狼だろうが、人であろうが、どちらでも良いこと。

いや、両方の種族を持ち合わせているから気持ちは動いたかもしれない。

最初は愛護の気持ちだったかもしれないが、今は違う。

目いっぱいに触れていたいし、話をしていたい。

壁を感じて寂しいという気持ちに襲われる。

胸やお腹がゾワゾワするような感覚。

匂いや、触れると過敏に反応してしまい、疼くような歓びが体中を駆け巡る。

狼でも、人間でも、どちらの姿でもいい。

ルーナはリアムを意識し、欲していた。
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