フェンリルに捧ぐ愛の契り 〜旦那さまを溺愛してもいいのは私だけです! 耳を食みたいのです!〜
生き物として強かろうと、温もりを求めるのは同じなのだと知った。
「旦那様に触れてほしい。だけど旦那様は私に触れようとしない」
この悔しくて悲しい気持ちはもう塞き止めることが出来ない。
「私は旦那様の妻です! そんなに……そんなに女として魅力がありませんか!?」
「ルー……」
「生涯をともにしようと決めました! この命、この魂、旦那様に捧げようと!」
息が荒い。
泣き叫ぶ姿にリアムは首を動かし、口を開いてルーナの足を引っ張った。
地面に落とされたルーナを覆うように巨大な狼が影を作る。
「種族の異なる者との婚姻だぞ」
「覚悟の上です」
「怪物だぞ? お前のようなか弱いものを丸飲みだって出来る」
「旦那様はやさしい方です。触れることに怯えて……私の方が噛みついてしまいそう」
「はっ……、そうだったな」
ぺろりと赤い舌がルーナの唇を舐める。
左右異なる色の瞳に赤くなったルーナの泣き顔が映った。