フェンリルに捧ぐ愛の契り 〜旦那さまを溺愛してもいいのは私だけです! 耳を食みたいのです!〜
第2話「旦那様は意外と文明狼」
「お屋敷……」
一体どんな生活が、と想像していたがたどり着いた先に建つ石造りの洋館に拍子抜け。
それは時代をさかのぼる必要のある建造物ではあったが、十分に人が暮らせるもの。
「昔、人間が造ったものだ。さほど生活に差異はないだろう」
「旦那様はこちらで暮らしているのですか?」
「人の形をとるときは」
驚きで目の前がチカチカする。
「旦那様は人だったのですか!?」
くわっと噛みつきそうな勢いで手を伸ばし、狼の毛を掴む。
強めに引っ張ったことで狼は唸り声をあげ、顔を動かして振り払う。
「あ……申し訳ございません。つい」
「……狼のように見えるだろうが、厳密には魔獣だ」
「魔獣……」
「たしか、人はフェンリルと呼ぶ」
「フェンリル!?」
それはアイスノ王国に伝わる伝説の魔獣。
巨大な狼のような姿をしており、それは世界が滅亡する際に戒めを解いて人の世に現れるといわれている。
つまり人間にとって恐るべき怪物である。
(怖い……と思うべきところよね? だけど旦那様からイヤな感じはしない。むしろ私が王女であることを忘れてしまいそうな)
「せ、世界を滅ぼすのですか?」
一体どんな生活が、と想像していたがたどり着いた先に建つ石造りの洋館に拍子抜け。
それは時代をさかのぼる必要のある建造物ではあったが、十分に人が暮らせるもの。
「昔、人間が造ったものだ。さほど生活に差異はないだろう」
「旦那様はこちらで暮らしているのですか?」
「人の形をとるときは」
驚きで目の前がチカチカする。
「旦那様は人だったのですか!?」
くわっと噛みつきそうな勢いで手を伸ばし、狼の毛を掴む。
強めに引っ張ったことで狼は唸り声をあげ、顔を動かして振り払う。
「あ……申し訳ございません。つい」
「……狼のように見えるだろうが、厳密には魔獣だ」
「魔獣……」
「たしか、人はフェンリルと呼ぶ」
「フェンリル!?」
それはアイスノ王国に伝わる伝説の魔獣。
巨大な狼のような姿をしており、それは世界が滅亡する際に戒めを解いて人の世に現れるといわれている。
つまり人間にとって恐るべき怪物である。
(怖い……と思うべきところよね? だけど旦那様からイヤな感じはしない。むしろ私が王女であることを忘れてしまいそうな)
「せ、世界を滅ぼすのですか?」