結婚したくない二人の話~完璧イケオジエリートは、実は独占欲強めなケダモノでした~
東京駅_5
「詳しい事情はわからないけれど、そっちの人も具合悪そうだし、場所か日を改めたら?」
「誰だよ、あんたたち!」
こんなことを言われるなんて、よっぽど見苦しかったのだろう。結局、周囲の方々に迷惑をかけてしまったことが恥ずかしいし申し訳ない。謝りもしない真臣に呆れる。
立ち止まる人も増えて、「修羅場?」「聞こえてたけど彼氏サイテー」などと聞こえるように言う人もいた。真臣に味方する人が極端に少ないのは、事実そうであることに加えて、私を庇うように立っているこの人がイケメンだからだと思う。イケメン正義。
雰囲気にいたたまれなくなったのか武内さんが口を開いた。
「あ、あのね……私も疲れたから座りたいな」
「ごめんね、七瀬さん。僕の家においで。もう会社には戻らないから」
真臣の言葉を聞いて、思わず隣の男性の腕をぎゅっと掴んでしまった。彼には申し訳ないと思ったが、何かにすがってないと立てそうにない。これだけは聞いておかなくてはと思ってなんとか声を絞り出した。
「帰るってどこに? まさか私たちの家!?」
「え、だめ?」
「だめに決まってるだろ」
真臣に向かってそう言ったのは私ではなく隣のおじさんで、冷静すぎる物言いに周囲で忍び笑いが起きる。恥ずかしい。
真臣は仕方なく自分の実家に帰ると言って、逃げるようにその場を後にしたので、助け船を出してくれた男性に心の底から感謝した。