結婚したくない二人の話~完璧イケオジエリートは、実は独占欲強めなケダモノでした~
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「古美術に関しては素人ですが、お手伝いさせてください。頑張ります!」
「ありがとうございます。良かった」
八木沢さんが心底ほっとしたような表情で笑ったので、役に立てることを嬉しいと思った。
その場で契約をして、仕事が終わった管理会社のお兄さんは帰っていった。
私も引っ越しの手配をしなければならない。一度帰ろうかと思いつつ何気なく部屋を見回すと、部屋の隅に大きく薄い箱が積み重なっているのが気になった。
「これはもしかしてお皿ですか? 中を見てもいいですか?」
「構いませんよ」
八木沢さんは、私が興味をもったのが嬉しいのか、にこにこ笑いながら自ら箱を持って来てくれた。リビングのテーブルに置き、彼が括ってある紐を手際よく解いてふたを持ち上げると、そこに入っていたのはやはり陶器のお皿だった。
「わあ、素敵な染付……!」
白に青い顔料で草花や鳥が描かれている。大きく平たいので、お刺身を盛り付けたり、いっそサラダを盛ってもいいなあ、などと想像してしまった。
「このあたりにあるのは、器なんですね。他のも開けてみていいですか?」
八木沢さんに了承をもらって、しゃがみ込んで床の上で開いてみた。次に出てきたのは茶器のセットで、赤や黄色で絵付けしてあり白磁が美しい。