結婚したくない二人の話~完璧イケオジエリートは、実は独占欲強めなケダモノでした~

「パパのお友達だから、ヤギさんみたいにおじさんだと思ってた! 綺麗なお姉さん!」
「戸樫和咲といいます。本日はお招きありがとうございます」

 彼女に向かってお礼を言うと、槙木さんが「うんうん、くつろいでね」と答えたので、八木沢さんが「自分ちのように言うな」とツッコミを入れていた。仲良しだな。

 奥様とは初対面なのに、私がどうしてお二人と知り合って、どうして引っ越したのか、一切質問されなかった。その配慮がとてもありがたかった。
 飲みながらお料理の話をしたり、近所のお店について聞いたり、他愛ない会話が心地いい。

 槙木さんの娘さん――(あや)ちゃん――が、「かずさちゃんと遊ぶ! ゲームしたい!」と言うので、一緒にやらせてもらうことにした。某国民的ゲームキャラクターがカーレースするものだったが、ゲーム自体に全く触れてこなかったので、ルールやキャラクター選びの操作から教えてもらった。

 全くやったことなかったのが珍しいのか、槙木さんに質問された。

「和咲ちゃん、ゲーム禁止の家だったの?」
「あー……はい。うちに一切ありませんでした」
「厳しい!」

 ゲーム機がなかったのは本当だが、別に禁止だったわけではなく、買うお金も、時間もなかったせいだが、うまく説明するのが難しそうだったので少し誤魔化した。八木沢さんにはばれていそうな気もするけど。

 操作は簡単なので、だんだん慣れてくると夢中になってはしゃいでしまった。

「わあ、初めて一着になったー!」
「かずさちゃんすごいね!」
「綾ちゃんの教え方が上手だからだよ。ありがとう」
「弟子だからね」

 またやろうねと約束したので、後日、大人全員を巻き込んだ○リカー大会が開かれることになる。


< 50 / 65 >

この作品をシェア

pagetop