結婚したくない二人の話~完璧イケオジエリートは、実は独占欲強めなケダモノでした~

 離れていても、毎日連絡をとっていたし、連休があれば必ず東京に戻ってきてくれた。一緒に住むならどこがいいか、いつも話していた。

(でも、順調にお付き合いが続いていると思っていたのは、私だけだったみたい)

 私がいなくなればいい。邪魔にならないように。

 彼らに一歩近づくと、私の存在にようやく気づいたらしい真臣と目が合った。さすがに気まずそうな表情になり、武内さんから少し離れようとしたが、彼女はすがるように彼の腕を放そうとはしなかった。
 それはそうだろう。責任をとるべき真臣(ちちおや)を、やっと捕まえたのだから。

 すっきり別れよう。結婚式場のキャンセル料は全額、お二人に払って頂きたい。
 けれど、私に向かって、真臣が発したのは、「距離を置こう」というあり得ない台詞だったのだ。



「……時間と距離を置いても解決しないよね……? そんな問題じゃないよ。本当は聞きたくないけど、説明はしてほしい。どうしてこうなったのか」

「和咲、落ち着いてほしいんだけど、違うんだよ」

 この女性が本当に妊娠しているのなら、時間が経てば浮気の証拠が生まれてしまう。
 自分が招いたことなのに、どうして真臣が泣きそうな顔をしているのだろう。泣きたいのは私のほうだ。

「一回だけ、なんだよ」

「……何が?」

「七瀬さんは同じ部署で仲良くしてて、引っ越しの手伝いにも来てくれてさ。それで、その……二人きりで荷造りしてた時に告白されて……最後だからって……」


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