止まない雨の降る夜は
そのまま寝室に引き摺りこんでベッドに押し倒し、のしかかった。パーカーをたくし上げ、相変わらず肉付きの悪い貧相な胸を弄ぶ。敏感に反応する小夏は、堪えるように声を殺しても逃げない。

「ッ・・・、んっ・・・っ」

「嫌ならもう来んな」

「や、・・・だぁ・・・」

「どっちだよ」

「きらい、に、ならない、・・・で」

「訊いてねーよ」

(わら)った。滑稽だった、ひとつも噛み合ってねーのが。

家出猫にやるエサなんかねぇよ。甲斐さんについてくと決めたオレがしてやれることなんか、ひとつもねぇんだよ。ここに来んのはなんでか言えよ。

「・・・自分で脱げよ。寝床が欲しかったらオネダリくらいできんだろ」

突き放す。突き放しながら、あんたの首に見えない縄を巻き付ける。なにが欲しいのか言ってみろよ。

頼りなく情けなく歪んだ顔をオレから背けて、口を開きかけたのを躊躇い、か細く呟きが漏れた。

「・・・・・・うん」

その瞬間、どっかでぶつ切れる音がした。血管の中を砂が流れる音がした。

握ってた縄を放った。

「もう来んな」
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