惑溺アゴーギク

竜胆の独占欲

 ハナレヨウトスルナラ、コワシテヤル。

 恋人の白い肌には、無数の赤い痕が残っている。その鬱血を数えるたび、得体の知れない黒い情熱がリンドウの中に燃えあがる。凶暴な恍惚が狂おしく全身を駆け抜け、リンドウはゾクゾクと震えた。消えかけたキスマークに唇を押しつけ、リンドウは自分の刻印を再生させる。

「もし、アンタがアタシから離れていこうとしたら」
「……リンドウさん……?」
「殺してやる」

 もう、ドロップという幸福を手放せないから。強く激しく、彼女を思っているから。彼女への愛は日に日に業火の如く勢いを増すばかりだ。
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