私が蛙にされた悪役令嬢になるなんて、何かの冗談ですよね?
1−18 蛙の鳴き声、再び
「コラーッ! インチキ魔法使い! 戻ってきなさいよー! 私が自力でこんな高い木の上から降りられるはずないでしょーっ!!」
空に向かってケロケロと恨みがましげに訴えていると、突然強い風がビュウッと吹いてきた。そして危うく吹き飛ばされそうになる蛙の私。
「キャーッ! と、飛ばされる! 落ちるっ!」
必死で吸盤の着いた前足?で木にすがりつくも無惨に風に飛ばされる私。
そして真っ逆さまに地上に向けて落ちていく。
「いやああああっ!! お、落ちるーっ! 死ぬっ!!「」
酷いっ!魔法使いの奴め! こんな……こんな蛙の姿のまま死んじゃったら……呪ってやる! 毎晩枕元に立ってケロケロ鳴いてやるぅっ!!
思わずギュッと目をつぶったその時……。
ふわりと私の身体が宙に浮き、静かに地面に下り立った。
「え……? な、何今の……?」
すると、何処からともなく魔法使いの声が聞こえてきた。
『ごめん、サファイア。笑いを堪えるのが精一杯で、君を木の上から下ろすのを忘れていたよ。ついでに止めていた時間も元に戻しておいたよ』
「え!? これって貴方の仕業だったの? だったらもっと丁寧に下ろしてよ! 死ぬかと思ったでしょう!? それに止めていた時間って一体どういう意味よ!」
姿が見えず、声だけ聞こえる魔法使いに文句を言う私。
『文字通り、時を止める魔法さ。君と2人だけで話す時間が欲しかったからね』
何? この魔法使い……時間も自由に操れるの? だったら……!
「だったら何で私の呪いを解く魔法は使えないのよ!!」
しかし、彼はそれには答えない。
『あ、そろそろ誰か来そうだ。それじゃ引き続き蛙ライフを楽しんでおくれ。僕としては今の君がとってもチャーミングだからずっとそのままでいてもらいたいくらいだけどね』
無責任な言葉を言う魔法使いにキレる私。
「はぁ!? 冗談じゃないわよ! 誰がいつまでも蛙のままでいるっていうのよ! 話はまだ終わっていないんだから姿を見せなさいよ!!」
『それじゃ今度こそ僕はもう行くね。元気でね〜』
魔法使の声はどんどん遠くなっていく。
「ケローッ!!」
(こらーっ!!)
思わず叫んだ時、私は再び自分の声が蛙に戻っていることに気付いた。
「ケロケロケローッ!」
(そ、そんなーっ!)
再びショックで声を上げた時。
「あ! いたいた蛙さん! 何処へ行っていたんだい? 随分探したんだよ?」
突然真上から声が降ってきたので、驚いて上を見上げた。
「おまたせ、蛙さん。とっておきの餌を持ってきて上げたよ?」
そこには先程の無責任魔法使いとは違い、爽やかな笑みを浮かべているクロードと庭師さんの姿が。
そして彼の手には何やら紙袋が握りしめられていた――
空に向かってケロケロと恨みがましげに訴えていると、突然強い風がビュウッと吹いてきた。そして危うく吹き飛ばされそうになる蛙の私。
「キャーッ! と、飛ばされる! 落ちるっ!」
必死で吸盤の着いた前足?で木にすがりつくも無惨に風に飛ばされる私。
そして真っ逆さまに地上に向けて落ちていく。
「いやああああっ!! お、落ちるーっ! 死ぬっ!!「」
酷いっ!魔法使いの奴め! こんな……こんな蛙の姿のまま死んじゃったら……呪ってやる! 毎晩枕元に立ってケロケロ鳴いてやるぅっ!!
思わずギュッと目をつぶったその時……。
ふわりと私の身体が宙に浮き、静かに地面に下り立った。
「え……? な、何今の……?」
すると、何処からともなく魔法使いの声が聞こえてきた。
『ごめん、サファイア。笑いを堪えるのが精一杯で、君を木の上から下ろすのを忘れていたよ。ついでに止めていた時間も元に戻しておいたよ』
「え!? これって貴方の仕業だったの? だったらもっと丁寧に下ろしてよ! 死ぬかと思ったでしょう!? それに止めていた時間って一体どういう意味よ!」
姿が見えず、声だけ聞こえる魔法使いに文句を言う私。
『文字通り、時を止める魔法さ。君と2人だけで話す時間が欲しかったからね』
何? この魔法使い……時間も自由に操れるの? だったら……!
「だったら何で私の呪いを解く魔法は使えないのよ!!」
しかし、彼はそれには答えない。
『あ、そろそろ誰か来そうだ。それじゃ引き続き蛙ライフを楽しんでおくれ。僕としては今の君がとってもチャーミングだからずっとそのままでいてもらいたいくらいだけどね』
無責任な言葉を言う魔法使いにキレる私。
「はぁ!? 冗談じゃないわよ! 誰がいつまでも蛙のままでいるっていうのよ! 話はまだ終わっていないんだから姿を見せなさいよ!!」
『それじゃ今度こそ僕はもう行くね。元気でね〜』
魔法使の声はどんどん遠くなっていく。
「ケローッ!!」
(こらーっ!!)
思わず叫んだ時、私は再び自分の声が蛙に戻っていることに気付いた。
「ケロケロケローッ!」
(そ、そんなーっ!)
再びショックで声を上げた時。
「あ! いたいた蛙さん! 何処へ行っていたんだい? 随分探したんだよ?」
突然真上から声が降ってきたので、驚いて上を見上げた。
「おまたせ、蛙さん。とっておきの餌を持ってきて上げたよ?」
そこには先程の無責任魔法使いとは違い、爽やかな笑みを浮かべているクロードと庭師さんの姿が。
そして彼の手には何やら紙袋が握りしめられていた――