私が蛙にされた悪役令嬢になるなんて、何かの冗談ですよね?
2-2 ピンチ直前
「いないなぁ……白蛙さん……」
クロードが明らかに落胆した様子で肩を落としている。
「もう少し探してみましょう。あんなに身体が小さいのですからそう遠くには行っていないと思いますよ。それにあの蛙さんはとても私達に懐いていましたから、他所に行くことは無いと思いますけど」
「ホーウッ! ホーウッホウッ!!」
(そう! そのとおりよ庭師さん!!)
私は2人の頭上を飛び回りながらホウホウと鳴いた。
「それにしてもこのフクロウ……何故僕達の回りを飛んでいるんだろう?」
クロードがチラリと私を見る。
「そうですね……ですがフクロウの考えは我々には分かりませんからね」
「とにかく、手分けして探そう。白蛙さんが心配だ」
「ええ、分かりました!」
そしクロードさんは花壇の周囲を、庭師さんは池の周囲を探し始めた。
「ホーウッ! ホーウッホウッ!! ホーウッ! ホーウッホウッ!!」
(ちょっと! 何処探してるの!! 違うって! 私はここよっ!!)
必死で鳴いても当然2人に伝わるはずもなく……そしてついに……。
「クロード様っ! いました! 白蛙さんがいましたよーっ!!」
庭師さんが両手で何かを包み込んでいるかのような手付きでこちらへ向かって駆け寄ってきた。
「え!? 見つかったのかい!?」
クロードが嬉しそうに笑った。
「ホウッ!? ホーゥッ!?」
(ええーっ!?嘘でしょうっ!?)
そんなバカなっ! 私はここにいるのに!? それとも私は今迄私だと思っていたのに、本当は全くの別人だったのだろうか!?
パニックのあまり、自分で訳の分からない考えに陥っている。
「その手の平の中にいるのかい?」
クロードが庭師さんに尋ねた。
「はい、そうです。ピョンピョン飛び跳ねるので捕まえるのに苦労しましたよ。ほら、白蛙さんです」
庭師さんは上から覆いかぶせていた手をそっと外した。
その蛙を目にし……衝撃を受けた。何とその蛙は確かに白ではあるけれども所々に灰色のまだら模様の姿をしていた。
(何これっ!! ちっとも似ていないじゃないのっ!!)
私はホウホウと庭師さんに文句を言う。
「う〜ん……本当にこれが白蛙さんかい? 何だか随分身体も大きいし……まだら模様じゃないか」
「ええ、そこが重要です。いいですか? あの白蛙さんはまだ成長途中の赤ちゃんだったのです。けれど、我々が知らないところで脱皮をして成長したのですよ」
「成程、脱皮か……それは少しも気づかなかった」
ウンウンと腕組みして頷くクロード。
(そうか……確かに蛙は脱皮をする……って、ちがーう!! そうじゃないでしょう!!)
猛反発してホウホウ鳴くのに、2人は少しも取り合ってくれない。まずい! これでは私の地位が得体の知れない蛙のせいで脅かされてしまう!!
(ちょっと! それは全く別の蛙! 私じゃないんだってば!)
必死になって2人の上を飛び回るも、クロードはうるさそうに私を見る。
「何だい? このフクロウは。さっきから僕達にまとわりついて……」
ガーンッ!!
クロードに冷たい態度を取られてしまった!!
挙げ句に余計な話をする庭師さん。
「クロード様、よくよく考えてみたのですが……ほら、見て下さい。この蛙。目が青ではありません。黒ですよ。あの白蛙さんは綺麗な青い目をしていました」
は!? それでよく私だといいきれたものだ。
「本当だ……確かにそうだね」
頷くクロード。
「それで考えたのですが……ひょっとするとこのフクロウが食べてしまったのではないですか?」
あろうことか、今迄私の味方だと思っていた庭師さんがとんでもないことを言ってきた――
クロードが明らかに落胆した様子で肩を落としている。
「もう少し探してみましょう。あんなに身体が小さいのですからそう遠くには行っていないと思いますよ。それにあの蛙さんはとても私達に懐いていましたから、他所に行くことは無いと思いますけど」
「ホーウッ! ホーウッホウッ!!」
(そう! そのとおりよ庭師さん!!)
私は2人の頭上を飛び回りながらホウホウと鳴いた。
「それにしてもこのフクロウ……何故僕達の回りを飛んでいるんだろう?」
クロードがチラリと私を見る。
「そうですね……ですがフクロウの考えは我々には分かりませんからね」
「とにかく、手分けして探そう。白蛙さんが心配だ」
「ええ、分かりました!」
そしクロードさんは花壇の周囲を、庭師さんは池の周囲を探し始めた。
「ホーウッ! ホーウッホウッ!! ホーウッ! ホーウッホウッ!!」
(ちょっと! 何処探してるの!! 違うって! 私はここよっ!!)
必死で鳴いても当然2人に伝わるはずもなく……そしてついに……。
「クロード様っ! いました! 白蛙さんがいましたよーっ!!」
庭師さんが両手で何かを包み込んでいるかのような手付きでこちらへ向かって駆け寄ってきた。
「え!? 見つかったのかい!?」
クロードが嬉しそうに笑った。
「ホウッ!? ホーゥッ!?」
(ええーっ!?嘘でしょうっ!?)
そんなバカなっ! 私はここにいるのに!? それとも私は今迄私だと思っていたのに、本当は全くの別人だったのだろうか!?
パニックのあまり、自分で訳の分からない考えに陥っている。
「その手の平の中にいるのかい?」
クロードが庭師さんに尋ねた。
「はい、そうです。ピョンピョン飛び跳ねるので捕まえるのに苦労しましたよ。ほら、白蛙さんです」
庭師さんは上から覆いかぶせていた手をそっと外した。
その蛙を目にし……衝撃を受けた。何とその蛙は確かに白ではあるけれども所々に灰色のまだら模様の姿をしていた。
(何これっ!! ちっとも似ていないじゃないのっ!!)
私はホウホウと庭師さんに文句を言う。
「う〜ん……本当にこれが白蛙さんかい? 何だか随分身体も大きいし……まだら模様じゃないか」
「ええ、そこが重要です。いいですか? あの白蛙さんはまだ成長途中の赤ちゃんだったのです。けれど、我々が知らないところで脱皮をして成長したのですよ」
「成程、脱皮か……それは少しも気づかなかった」
ウンウンと腕組みして頷くクロード。
(そうか……確かに蛙は脱皮をする……って、ちがーう!! そうじゃないでしょう!!)
猛反発してホウホウ鳴くのに、2人は少しも取り合ってくれない。まずい! これでは私の地位が得体の知れない蛙のせいで脅かされてしまう!!
(ちょっと! それは全く別の蛙! 私じゃないんだってば!)
必死になって2人の上を飛び回るも、クロードはうるさそうに私を見る。
「何だい? このフクロウは。さっきから僕達にまとわりついて……」
ガーンッ!!
クロードに冷たい態度を取られてしまった!!
挙げ句に余計な話をする庭師さん。
「クロード様、よくよく考えてみたのですが……ほら、見て下さい。この蛙。目が青ではありません。黒ですよ。あの白蛙さんは綺麗な青い目をしていました」
は!? それでよく私だといいきれたものだ。
「本当だ……確かにそうだね」
頷くクロード。
「それで考えたのですが……ひょっとするとこのフクロウが食べてしまったのではないですか?」
あろうことか、今迄私の味方だと思っていた庭師さんがとんでもないことを言ってきた――