私が蛙にされた悪役令嬢になるなんて、何かの冗談ですよね?
2-12 クロードの情報
「さて、それで? クロードのこと、教えてくれるんでしょうね?」
私はジロリと魔法使いを睨みつけた。
「う、うん。勿論僕の知ってる限りの情報は教えてあげるから……その目で睨むのはやめてくれないかなぁ? フクロウの目って迫力があるから……」
魔法使いはおどおどした様子で私に声をかけてくる。
「分かったから、早く教えなさいよ」
「うん。ここはサファイアが暮らしていたお隣の国だよ。そして君がいる場所はこの国のお城なのさ。もっとも城と言っても、離宮だけどね。クロード王子は王族だけど、家族とは一緒に暮らしていないんだよ。僅かな使用人たちとひっそりと静かにこの離宮で暮らしている。華やかな王宮暮らしとは、それこそ無縁のね」
「え……? 何それ? どうしてクロードだけが、そんな暮らしをしているの?」
「う〜ん。そこまでは僕もよく知らないんだよ。ただ、クロード王子が暮らしている離宮は彼の為に建てられたお城らしいから……特に虐げられているわけじゃないと思うよ。それに、この美しい庭を見てご覧。自然に囲まれて最高じゃないか」
魔法使いは大袈裟とも思える素振りで両手を広げた。
「ふ〜ん。要は、殆どクロードの情報は持っていないってわけね?」
「それは仕方ないよ。何しろ幾ら僕が偉大な魔法使いだからといってもこの世の全てを把握しているわけじゃ無いからね。でもここは他の森に比べれば平和だから、君がずっと暮らしていくには申し分ないと思うけどな」
「何ですって……?」
脳天気な魔法使いの言葉に耳を疑う。
「え? な、何? 何だか……君から物凄い殺気を感じるんだけど……? もしかして……怒ってる?」
「当たり前でしょう! 怒ってるに決まってるでしょう! 何でずっとここで暮らしていかなくちゃならないのよ! 私は人間! ましてやサファイア本人じゃないんだから! とにかく、何としても呪いを解いて元に戻ってやるんだからね!」
バサバサ羽を羽ばたかせながら魔法使いに文句を言う私。
「わ、分かったってば! 君がサファイア本人じゃないっていうなら、僕の方でも原因を調べてあげるから!」
魔法使いはフクロウ姿の私に怒られるのが余程怖いのか、頭をペコペコと下げてくる。
「その話、本当ね? 絶対嘘はつかないでよ?」
「も、勿論だよ。約束はちゃんと守るから」
「分かったわ、なら信じるわよ」
「それじゃ、機嫌……直してくれるかな? 君には嫌われたくないんだよね……」
何故か、シュンとした様子で私に話しかけてくる魔法使い。
「……まぁ、誠意をみせてくれれば許してあげるわよ」
何しろ、この魔法使い……今は牛乳瓶の底のような分厚い眼鏡を掛けているけれども、とびっきりの美形だ。
おまけに唯一コミュニケーションが取れる相手。私としても、この魔法使いと縁を切るわけにはいかない。
最も、魔法使いに今の話をするつもりはない。何故なら彼をつけあがらせたくはないからだ。
「え? 本当かい? 許してくれるんだね?」
何処か嬉しそうに尋ねてくる魔法使い。
「そうね。今夜はこれで許してあげるわよ」
「ありがとう! それじゃ夜も長いことだし、一緒に夜空を飛んでみようよ」
魔法使いはフワリと空中に浮かぶと私に手を差し伸べた。
「しょうがないわね。ま、付き合ってあげるわよ」
私は羽を羽ばたかせ……この夜は魔法使いと夜の空中飛行を楽しんだ――
私はジロリと魔法使いを睨みつけた。
「う、うん。勿論僕の知ってる限りの情報は教えてあげるから……その目で睨むのはやめてくれないかなぁ? フクロウの目って迫力があるから……」
魔法使いはおどおどした様子で私に声をかけてくる。
「分かったから、早く教えなさいよ」
「うん。ここはサファイアが暮らしていたお隣の国だよ。そして君がいる場所はこの国のお城なのさ。もっとも城と言っても、離宮だけどね。クロード王子は王族だけど、家族とは一緒に暮らしていないんだよ。僅かな使用人たちとひっそりと静かにこの離宮で暮らしている。華やかな王宮暮らしとは、それこそ無縁のね」
「え……? 何それ? どうしてクロードだけが、そんな暮らしをしているの?」
「う〜ん。そこまでは僕もよく知らないんだよ。ただ、クロード王子が暮らしている離宮は彼の為に建てられたお城らしいから……特に虐げられているわけじゃないと思うよ。それに、この美しい庭を見てご覧。自然に囲まれて最高じゃないか」
魔法使いは大袈裟とも思える素振りで両手を広げた。
「ふ〜ん。要は、殆どクロードの情報は持っていないってわけね?」
「それは仕方ないよ。何しろ幾ら僕が偉大な魔法使いだからといってもこの世の全てを把握しているわけじゃ無いからね。でもここは他の森に比べれば平和だから、君がずっと暮らしていくには申し分ないと思うけどな」
「何ですって……?」
脳天気な魔法使いの言葉に耳を疑う。
「え? な、何? 何だか……君から物凄い殺気を感じるんだけど……? もしかして……怒ってる?」
「当たり前でしょう! 怒ってるに決まってるでしょう! 何でずっとここで暮らしていかなくちゃならないのよ! 私は人間! ましてやサファイア本人じゃないんだから! とにかく、何としても呪いを解いて元に戻ってやるんだからね!」
バサバサ羽を羽ばたかせながら魔法使いに文句を言う私。
「わ、分かったってば! 君がサファイア本人じゃないっていうなら、僕の方でも原因を調べてあげるから!」
魔法使いはフクロウ姿の私に怒られるのが余程怖いのか、頭をペコペコと下げてくる。
「その話、本当ね? 絶対嘘はつかないでよ?」
「も、勿論だよ。約束はちゃんと守るから」
「分かったわ、なら信じるわよ」
「それじゃ、機嫌……直してくれるかな? 君には嫌われたくないんだよね……」
何故か、シュンとした様子で私に話しかけてくる魔法使い。
「……まぁ、誠意をみせてくれれば許してあげるわよ」
何しろ、この魔法使い……今は牛乳瓶の底のような分厚い眼鏡を掛けているけれども、とびっきりの美形だ。
おまけに唯一コミュニケーションが取れる相手。私としても、この魔法使いと縁を切るわけにはいかない。
最も、魔法使いに今の話をするつもりはない。何故なら彼をつけあがらせたくはないからだ。
「え? 本当かい? 許してくれるんだね?」
何処か嬉しそうに尋ねてくる魔法使い。
「そうね。今夜はこれで許してあげるわよ」
「ありがとう! それじゃ夜も長いことだし、一緒に夜空を飛んでみようよ」
魔法使いはフワリと空中に浮かぶと私に手を差し伸べた。
「しょうがないわね。ま、付き合ってあげるわよ」
私は羽を羽ばたかせ……この夜は魔法使いと夜の空中飛行を楽しんだ――